シンポジウム「DXの時代:建築・都市分野の最先端XR 2021」講演情報

概要|講演情報


基調講演

建築のニューノーマル

換気の強化、三密回避前提のプラン、さらには人が集まり仕事するというビルの存在意義まで──新型コロナは、多くのレベルで建築に変革を求めている。一方、新型コロナはすべての面のDXを日本ですすめるきっかけとなった。BIMの先にある建築物の「デジタルツイン」化は、有事対応も含む建築物管理のプラットホームとなり得る。講演では、それらの両面からニューノーマル時代に求められる建築について考える。

坂村 健

INIAD(東洋大学情報連携学部)学部⻑、東京大学名誉教授

1951年東京生まれ。IoTのための重要なOSとして世界中で多く使われているTRONを開発。コンピュータを使った電気製品、家具、住宅、ビル、都市、ミュージアムなど広範なデザイン展開を行っている。


講演 4題

リアルとバーチャルをつなぐ新しい働き方

感染拡大の終息が見通せない中、ニューノーマルを見据えた働き方の模索が続いている。一方で在宅勤務をはじめとするリモートワークの定着が進んだ。今後は会社とリモートのハイブリッドワークが主流になると考えられる。ワークライフバランスを保ちつつ、生産性と創造性の向上を図る上でカギとなるのがコミュニケーションである。そしてそれらを支える様々なデジタル技術の活用である。講演では社内での検証事例も含めて紹介する。

上田 淳

清水建設株式会社 建築総本部 設計本部 デジタルデザインセンター 所長

1992年大阪大学工学研究科環境工学専攻修了、同年4月清水建設に入社。1998年より設計部門でプレゼンテーション業務、2017年よりコンピュテーショナルデザインやBIM関連の開発・整備も担当。


シーグラフ2021を中心としたVR/AR最新動向

コンピュータグラフィックスとVR/ARの大規模カンファレンスであるSIGGRAPH(シーグラフ)は、COVID-19の影響で、2021年8月に全てバーチャル(オンライン)で開催された。本講演ではSIGGRAPHでの話題を中心に、建築・都市分野にまつわるCGやVR/ARの最新動向と、映像制作における建築や環境デザインに関する要素、また世界的に試行錯誤が続くリモートワークやコミュニケーション環境におけるVR/ARの動向に関してお伝えする。

安藤 幸央

株式会社エクサ Smartシステム開発本部

三次元CG、ユーザエクスペリエンスデザインが専門。CGの学会シーグラフ東京支部代表。Web、情報家電、VR、デジタルサイネージ、メディアアートなど多岐にわたるシステム開発を手がける。同分野の翻訳書監訳書多数。


3Dへのデータ重畳によるまちづくりのDXに向けて

国土交通プラットフォーム、Project PLATEAU等、近年、国や自治体においてデータのオープン化の流れが加速している。また、先行的な自治体では都市OSと呼ばれるAPI外部連携可能なデータ管理システムを導入しており、データ活用が今後のまちづくりの課題といえる。ここでは筆者らが取り組んできた、まちづくりのデータ活用事例を紹介し、適切にデータを選択・活用していくことへのヒントにして頂きたい。

田上 恭也

パナソニック株式会社 エレクトリクスワークス社 ライティング事業部 エンジニアリングセンター 専門市場エンジニアリング部 都市空間VR推進課 課長

九州大学大学院修了。松下電工株式会社に入社。大学在学時からVR/AR技術用いて様々な建設プロジェクトやまちづくりの現場における課題解決・合意形成に取り組む。一級建築士。


維持管理分野におけるVR、MRの導入展開

2013年から、技能や情報が過度に個人に属する傾向にある維持管理分野にBIMやクラウド、IoTを導入し、維持管理情報の外在化と共有を図る取り組みを行ってきた。しかし、維持管理は様々な主体が重層的に関与することや、現場での作業が旧態依然であったため、その効果は限定的であった。そこで、真の意味で「誰も」が「どこからでも」維持管理情報の閲覧、登録ができるインターフェースとして、VRやMRの導入を試みはじめた。ここでは、その概要や利点、課題について述べる。

大西 康伸

熊本大学 大学院先端科学研究部 准教授

1995年京都工芸繊維大学造形工学科卒業、1997年同大学大学院博士前期課程修了。組織設計事務所、アトリエ設計事務所を経て、2004年同大学大学院博士後期課程修了、博士(学術)。2004年熊本大学工学部助手、2013年〜熊本大学大学院准教授。



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